【ネタバレ注意】中二病でも恋がしたい!最終話いまさら感想【中二病の存在理由】
ネタバレあり!
執筆者は2週目なので、1期最終話まで見ていない方はブラウザバック推奨です…!
早いものでもう最終話です
母とお墓参りをする六花
墓石に上から水をかけてしまい、母に「急に上からかけたら、パパ冷たいって言うわよ」と優しく咎められる六花でしたが、六花はお墓と父を結びつけることがまだできていないようで、ピンときていない顔をします
六花は、心の中ではまだ父の死を認めていなかったのです
それから一日二日後のことでしょうか
まだ帰ってこない六花を心配する富樫
学校の机の中には教科書類が整理されずに置かれたままになっていて、いきなりいなくなるなんてことはないと思っていても胸騒ぎが治らない富樫
部室を訪れるとそこには謎のロングヘア美少女が。なんと中二病を卒業した凸守でした
つい先日泣かせた相手との再会がコミカルに描かれていますが…いや富樫一言謝れ!いくら正論だとしてもあれは八つ当たりだろ!
謝る隙さえ与えないあまりに優秀なコメディリリーフ凸守ちゃんに救われつつ、今度は一色が「勇太!先輩が…くみん先輩が…」と、部室に飛び込んできます
左腕の包帯に、右目の眼帯
くみん先輩は邪王真眼を六花から伝承していたのです
あぁ先輩…昼寝が趣味の先輩が休み時間なのに頑張って起きてるよぉ…
中二病アピールのために飲んでいた小瓶の液体もあれ実は中身眠眠打破とかなんじゃないでしょうか
困惑気味の富樫は、くみん先輩から「邪王真眼は生き続けなくてはならない。ダークフレイムマスターがいる限り」という六花からの意味深な言伝を聞かされます
家ではなんでもない風を装う富樫でしたが、
葛葉から六花の部屋が解約されていることを聞き、たまらず駅に走りますが、時間が遅く電車は来ないと駅員さんに言われます
失意のまま帰宅した富樫に届いた一通のメール
“ママと、じいちゃんもばあちゃんも幸せそうで、私がそうするって言ったらとても安心して、だから、きっとそれが一番良いんだと思う
勇太もそう思うよね?”
「中二病でも恋がしたい!#12 終天の契約(エターナル・エンゲージ)」より抜粋
六花がお墓参り→中二病卒業→それならまた皆で実家で暮らそう→家族のみんなが幸せ
思えば六花が団地に引っ越してきたのも、実家が嫌で高校進学を機に十花さんの所に逃げ込んできたようにも見えます(あくまで妄想です。アニメだけでは、六花の家庭の事情を把握することは難しいです)
六花を自分から遠ざけたのは、六花にこんな選択をさせたのは他ならぬ自分自身なのだと、富樫は悩みます。もうどうしようもなく悩み、悩みが煮詰まってきた頃、自分に手紙が届いていたことを思い出します
黒い便箋に赤いロウで閉じた封、送り主は「ダークフレイムマスター」
それは過去の自分が、2年後の自分に宛てて書いた手紙でした
年を重ねた自分が中二病を卒業しているであろうことを見越して、いつの日か情熱が枯れてしまうことを察して、そんな未来の自分に宛てて書かれた手紙でした
手紙では中二病を卒業する原因をマヤの予言のなんたらかんたらと言っていましたが、実はOPのサビ前に、マヤの予言について書かれた富樫の闇ノートが一瞬だけ出てきています。OP回収ですね
手紙を読み終え、呆れたように笑う富樫。封筒に一枚のメダルが入っていることに気付き、おもむろにそれを指で弾きます
手の甲に着地したメダルは「裏」
「…しょうがねぇなァ」
辛い現実に打ちのめされていたところを、過去の自分から激励され、富樫は再び立ち上がります
中二心をくすぐる展開です
ダークフレイムマスターの片鱗を思わせる中二全開の富樫にも、ゾクッとするようなカッコよさがあります
違和感も滑稽さもなく、ただカッコいい展開に持っていき、全視聴者に中二病のカッコよさを突きつけたこのシーンは、「中二病」を描き続けた製作チームの勝利と言ってもいいでしょう笑
六花を迎えに行く覚悟を決めた富樫
電車は出ないので一色の自転車を借ります
六花の実家までの具体的な距離は分かりませんが、一色のリアクションから相当無茶な距離だと分かります
富樫たちの団地の最寄駅の菱山駅のモデルとなった京阪石山駅から、六花の実家の最寄り駅の東浜見駅のモデルの東美浜駅までの距離はおよそ100km。一色の自転車を時速20km/hでブッ飛ばしたとしても5時間かかります
まぁ、両方とも外観のモデルとなった駅があるだけのまったく架空の駅なので、実際の距離は富樫のみぞ知るといった具合にこの考察には何の意味もないわけですが、とにかく富樫くんは六花のためにメチャクチャ頑張ったのです。愛の力です
道中、富樫を待っていたくみん先輩に引き留められ、六花が邪王真眼に目覚めた理由を聞かされます
お父さんが亡くなった実感が湧かない六花は、本音を押し殺してお母さんや十花さんに合わせて生きてきたこと
家を売却して実家に住むまでの間、一時的に十花さんの団地に泊まっていた六花が、偶然ダークフレイムマスターを目にしたこと
誰に遠慮するもなく、自分の妄想の世界を正直に生きるその姿を素敵だと思ったこと
“六花ちゃんは、中二病に救われた女の子
富樫くんを見て中二病と、その想いの強さに憧れた女の子
あなたの力に魅せられ、あなたの力を真似しようとした女の子
だから富樫くんだったんだよ
富樫くんじゃなきゃダメだったんだよ
六花ちゃんは、ずっと、ずっとずっと、ずっとーー”
「中二病でも恋がしたい!#12 終天の契約(エターナル・エンゲージ)」より抜粋
名前を呼ばれた気がして窓の外を見た六花
しかし誰もおらず、寂しさが込み上げて泣いてしまいます
ひとりぼっちの部屋の中で泣く六花は城に幽閉された囚われのお姫様か、はたまた閉鎖病棟に閉じ込められた精神病患者か
ただ一つ確実なのは、そんな六花を連れ出すために現れた富樫は、あの頃のダークフレイムマスターにも劣らない本物のヒーローだということです
“六花、来い!
つまらないリアルへ戻るのか!?
それとも、俺と一緒にリアルを変えたいと思わないのか!?”
「中二病でも恋がしたい!#12 終天の契約(エターナル・エンゲージ)」より抜粋
必死の問いかけに応えた六花は、本音を言えなかった過去の自分の呪縛を断ち切り、家を飛び出します
集結した結社の面々の力を借りつつ、富樫と六花は家から逃げ出すことに成功します
富樫は自転車を飛ばし、六花が不可視境界線を見た浜辺に連れていきます。ちょうど船の光が集まり、不可視境界線ができていました
あれだけ探していた不可視境界線を見ても、六花は「でもあれは船の光。ただの…光」と表情を落とします
そんな六花に、富樫は
爆ぜろリアル…!
弾けろシナプス…!
邪王真眼の原点、ダークフレイムマスターの桁外れの爆発的な妄想力によって、六花を再び中二病の世界に誘い込みます
富樫「これが不可視境界線だ
あの光がお前を見ている
伝えるが良い、お前の想いを
お前がずっと言えなかった想いを」
「中二病でも恋がしたい!#12 終天の契約(エターナル・エンゲージ)」より抜粋
六花は不可視境界線と向き合い、その向こうにいる父に「さよなら」を言います
六花は父の死を悼み、過去を心から受け入れます
六花の中で止まっていた時が動き出し、いつしか夜が明け、水平線の向こうから朝日が昇り、六花を照らすのでした
・「中二病」とは、何だったのか
“人は時に妄言を吐き、突然変わる世界を夢想し、遠い未来を想像し、存在しない大恋愛を頭の中に描く
それは、産まれてから死ぬまで、人の中で延々と繰り返される、果てしなく繰り返される、悲しくて、恥ずかしくて、愛おしい、「自意識過剰」という名の病
「自分」という名の、避けては通れぬ営み
そう、人は一生、中二病なのだ”
「中二病でも恋がしたい!#12 終天の契約(エターナル・エンゲージ)」より抜粋
この作品は「中二病」を「等身大の自分以上のものを演じる営み」と解釈しています
この件についてはラストの大塚芳忠さんの語り、また、丹生谷との会話が説明しています
演劇部に体験入部した丹生谷
でも、部長があまりに熱血的で、まるで熱血漢を演じているように見えてなんだか冷めてしまったといいます
富樫「何が言いたいんだよ」
丹生谷「別に?ただ結局、人はいつも何かに病んでいるのかなぁって」
富樫「…深いな」
丹生谷「浅いのよ。富樫くんが」
中二病に造詣が深い元モリサマーらしいお言葉です
熱血部長を演じている演劇部の部長や
中二病だった過去を捨てて、普通の高校生を演じる丹生谷や富樫も
自意識にかられて等身大の自分以上の何かを演じているのです
それこそが中二病
人は一生中二病なのです
だから無理に治そうとか、人生の恥部だとか思うことはないんですよと
人間讃歌は中二病の讃歌なんですよと
人間の素晴らしさは中二病の素晴らしさなんですよと
・この作品は何を伝えたかったのか
その答えはED後のエンドカードに記されています
公式の画像が見当たらなかったので「中二病 エンドカード」で各自調べてみてください。簡単に見つかります←
「現実に抗え!」
邪王真眼を捨てた六花は、辛い現実に押し潰されて、現実に負けてしまいます
でも、ダークフレイムマスターの力を借りた富樫や、極東魔術昼寝結社の夏の面々によって、六花を現実から連れ出すことに成功します
中二病を嫌う真面目なおじいちゃんや、国家権力のお巡りさんのパトカーを相手に自転車で逃げ続ける富樫たちのラストシーンは、まさに中二病が「現実」に抗うさまを体現しているのです
人間生きていると辛いことのひとつやふたつ出てきます
そんなとき、現実に真正面からぶつかって精神を消耗するより、ときには妄想の力を借りることでほどよく現実逃避しつつうまくやっていきましょうという、そういう教訓なのかなと思います
おれも中学生の頃は友達がいない自分を正当化するために「群れるのは好きじゃない…」と孤高の一匹狼を気取ったり、「おれには実はすごい力があるんだ!」と思い込むことで、嫌いな先生やクラスメイトを前にしても心に余裕ができたりと、六花ほどじゃないにしても中二病に救われた経験があります
現実に真っ向から立ち向かっても負けて惨めになるだけ
それなら、自分以上の何者かを演じ、その鎧を纏って現実と挑めばいいのデス
「中二病でも恋がしたい!」は、明日を戦う力を与えてくれる、大好きな作品です
今回、見返すにあたり感想をブログに書いていきましたが、1周目よりも多くのものを感じ取ることができて、この作品をより深く理解できたと思います
また、このブログが、今日までお付き合いいただいたあなたの、この作品の理解を深める手助けになったり、ほんの少しでも面白がってもらえたなら、何より嬉しいことでございます
ククク…
ハーッハハハ!
我がアカシック・レコードをその魂に刻みし者よ!
我はしばしこの世界から離脱する!
しかし案ずるな!
貴様に宿りし闇の波動は、いずれ我らを再び混沌なる運命の輪廻の内に交わらせることだろう…!
運命が我らを呼び戻すまでの間…さらばだ!
現実に抗え!